コラム

学校検診はあくまで検診です。

本年度より大野南小の学校歯科医に就任することとなりました。
当院は歯が生え始めるころから、もっと言えば妊娠期からむし歯予防に取り組んでいますが、永久歯に生え変わる小学生も重要な時期と考えています。

乳歯にむし歯があっても、抜けたらリセットされる。
学校検診でむし歯の指摘がなかったので大丈夫。
と思っていませんか?


その考えはぜひ変えていただきたいです。
学校検診ではレントゲン撮影をしておらず、歯と歯の間のむし歯については明らかな穴がない限りはむし歯と診断できていません。検診では指摘がなかったのに、数カ月したら大きな穴ができた、とよく耳にします。もともと歯と歯の間にはむし歯があったけれども、かみ合わせの部分の歯質が残っていたために(歯の上からではむし歯を認めることができず)見過ごされていた、ということもあります。

注意すべきはむし歯は治療すれば治る病気ではなく、むし歯菌、食生活、唾液量、唾液緩衝能、フッ素の使用状況、歯の状況(年齢)など複雑に関係しており、形成された穴であるむし歯だけを治しても再発するのは明らかなのです。

また清掃不良から歯肉炎になっている子どもたちも多く、検診でよく見かけます。今や歯磨きをしない子どもはいないと思いますが、きちんと磨けているかどうかは別問題。前歯だけを磨いている、噛み合わせだけを磨いている、ことは珍しくないようです。
全歯面を磨かなくては意味がありません。

当院は小学校を通し、少しでも多くの家庭にむし歯や歯周病は予防できる病気であることを知っていただけるよう情報発信していきます。

歳をとれば、歯は悪くなる。
歳をとれば、入れ歯は仕方ない。

そう思っている方がいらっしゃいましたら、ぜひ正しい知識を持っていただき、ご自身の歯を守っていただきたいと切に願います。

歯科検診は治療中心で生まれた考えで、勧告を受けた生徒が治療を受けに行く仕組みとなっています。成りたてのむし歯は適切な処置と行動を取れば治せる病気です。ぜひ歯科医院に行きましょう。

生涯自分の歯で食事を楽しむことができるためには、生え変わりの時期の適切な行動が重要です。妊娠期、乳児期も重要ですよ。

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