インプラントは自分の歯と同じように噛む力が蘇る、お手入れがしやすい、見た目がとても自然などさまざまなメリットがあり、注目されている治療です。
自費診療を基本としますが、失われた歯の機能を取り戻すために選択する人が増えています。

インプラントを検討する際は、メリットと共にインプラントを選択することで起こり得る「インプラント周囲炎」についても知っておきましょう。

ここではインプラント周囲炎と治療方法を紹介します。

インプラント周囲炎とは？

インプラント周囲炎とは、インプラントの周りに発生する歯周病のような症状です。インプラント体を埋め込み、その後人工歯を入れればインプラントそのものの治療は終わりですが、その後は治療を受けなくても良いというわけではありません。

定期的なメインテナンスやクリーニングを行わないまま放置すると、インプラントの周りには汚れが付着して出血・腫れなどを引き起こします。そのまま放置するとインプラント周囲にある骨が炎症で溶け、最悪の場合インプラントを抜かなくてはなりません。

正常であれば人工歯の部分とインプラント体の接合部分はきちんと清掃されており、埋め入れたインプラント体は骨と結合しています。しかしインプラントの周囲に炎症が起こり始めると、まずは粘膜部分で異変が生じます。その後、さらに炎症が広がると歯槽骨が破壊され始め、インプラントを支えきれなくなるのです。

抜いた箇所はすでに骨が溶けているため、インプラントを再度行うことはできません。

インプラント周囲炎で起こる症状

歯肉の出血、腫れ

歯肉が赤みを帯びてきたり腫れてきたりという症状は、インプラント周囲炎になるとまず始めに感じる症状です。歯磨きをするたびに出血が起こる、腫れた部位を押すと痛む、というときはインプラント周囲炎が始まったサインです。

ポケットが深くなる

歯と歯ぐきの間を歯周ポケットと呼びますが、インプラント周囲炎になると歯肉から歯槽骨までの距離が通常よりも深くなっています。その中に食べカス・細菌が溜まりやすく蓄積すると、炎症はどんどん広がっていきます。

膿が出て歯肉が退縮する

すでにインプラント周囲炎が重度になった場合に起こります。炎症で膿が発生するとともに、歯肉が退縮し始めます。インプラントの歯の部分が長く見えるようになるでしょう。

インプラントがぐらつく

歯槽骨が破壊し、インプラントが骨に固定されなくなってぐらつきはじめます。ぐらついている状態まで進行していると、インプラントを抜かなくてはなりません。動揺がひどくなると、自然と抜け落ちることもあります。

インプラント周囲炎が起こった場合の治療法

インプラント周囲炎の治療法は、どの程度の炎症が起こっているかによって異なります。まだ軽度の場合は、インプラント周囲の清掃を行うだけで改善する場合もあります。

ある程度症状が進行しているときは、清掃だけでなく薬剤による洗浄や抗生剤の投与なども行います。またさらにひどくなっていて腫れているときは、中に膿がたまっていることがあるため、切開をして取り除きます。

さらにひどい症状のときは、インプラントを除去する治療が必要です。

インプラント周囲炎を起こさないために大切なこととは？

通常の歯周病と基本的に仕組みは変わらないため、歯と歯ぐきの間の汚れはしっかりと取り除き、清潔な状態を保つことが大切です。

自宅では歯ブラシだけでなくタフトブラシなどを使ってセルフケアを行いましょう。
また何よりも大切なのは定期的なメインテナンスです。
セルフケアでは落としづらい箇所にあるプラークや歯石の除去を行えます。
またインプラントに問題が起こっていないか、周囲の歯肉には炎症がないかなどをチェックしてもらいましょう。

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